今日は、先日行った「深夜+1」というお店の映画好きのマスター(6/30の日記参照)に教えてもらった「早稲田松竹」という映画館に行った。高田馬場にある。ブニュエル監督という人の作品、『皆殺しの天使』と『ビリディアナ』の2つを見た。映画好きのマスターいわく「いいのやってる」とのことだったので。
 映画をほとんど見ないので、当然ブニュエル監督についても一切知らず、どれくらいの年代とかどこの国の映画とかも知らずに見た。白黒映画であることも知らなかった。さっき調べたところ、どうやらメキシコの映画らしい。
 まず『皆殺しの天使』について。晩餐会に集まったブルジョア20人が、宴もたけなわという時間になっても誰も帰ろうとしない。結局誰一人帰らないまま夜が更け朝になり、みんながみんな誰も帰ろうとしないのを不思議がる。しかしだんだんと、帰ろうとしないのではなく帰ることができなくなっている(それも、客間から出られなくなっている)ことに気づき、ブルジョア20人が客間に閉じ込められる、という話。終始気味の悪い感じではあるが、どこか滑稽でそこまで後味が悪いわけではない。それでもかなり衝撃的な内容だった。あらすじどころか、ジャンルさえも知らないまま見たというのもかなりよかった。
 『ビリディアナ』は『皆殺しの天使』ほどの気味の悪さはないにせよ、同じくらい変わった作品であったとは思う。修道女であるビリディアナが、唯一の親族である叔父の屋敷を訪ねるところから物語は始まる。この叔父は男やもめで、ビリディアナに亡き妻の面影を重ねて彼女を愛してしまってなんやかんや……というのが物語の前半ではある。しかしこれは単なる物語の前半、なんなら導入に過ぎなくて……。この作品は、当時のカトリック教会から大バッシングを受けた問題作らしい(結末からして納得である)。個人的には、乞食の描かれか方がものすごく印象的だった。当時の社会状況や人びとのくらしが垣間見れて面白い。
 これらブニュエル監督の作品は、シュルレアリスムの部類に入るらしい。シュルレアリスムがどんなもののことを言うのか僕はほとんど知らない。少なくとも今日見た2作品は、共通してなにかとぶっとんだ感じである。ブニュエル監督は変態だと思う。いやいや、本当に面白かったです。

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