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7月, 2022の投稿を表示しています
 ラズミーヒン、とっても、いいやつ! 自分が生まれ変わったら、こんな男になりたいもの! 豪快で、磊落で、快活で、単純で、底抜けに明るくて、生命力があって、生活力があって、ちょっと強引なところがある、そしてドゥーニャに首ったけなところが、本当にいい。

蘇る

(どいつもこいつも 何もかもだめ 何より一番自分がだめだと 心の奥では嫌というほど理解している ああ苦しい何も分からない 誰とも何とも自分とも手を繋ぐことができず 暗い泥の中を彷徨っているぼくの心は 何か大事な壺を思い切り壊したい って 自分の脳みそをかち割りたい 頭の中でずっと虫ケラが喋ってやがる 額を壁に打ち付ける作業 うるさい! 黙れ! 思考よ止まれ! ぼく以外のみんなは賑やかに パーティーを開いているが くそくらえ 自分はその輪に入らない 違う! ぼくは汚らわしいから その資格がないのだ そんなパーティーはくだらない 違う! ぼくは犯罪者だから 明るい部屋が怖いのだ)  助けてやれ  誰か助けてやれ この男を!  明るい道へ戻してやれ  そのための材料ならここにある!  幼少期の彼を知っているか  そうだ 意地悪なところ一つない  心優しい少年だった…… 心の膨大なエネルギーは ひたすら内の内側へ 無意識のダムに蓄積される 深い恐ろしい渦を巻いては その時が来るのを待っている やがて そこからイメージが 一つの道が浮かび上がる いますべてが変化する! 行き場を失ったすべての水が 道に押しよせ合流し 上へ外へと向かっていった 生き生きとした血液は 彼の全身を駆け巡り そして死者は蘇る そして ついにその瞬間が来た これまでどうしても思い付かなかった一つの理念が 彼の頭を稲妻のように直撃し すべての謎が解け 何もかもが符合する そこに疑いの余地はない 自分の考えの何もかもが その前提から 第一歩目から 目指すべき方向とまったく正反対に進んでいた! 彼はそれを言葉にはできない しかし 心で理解した 一つ確かなことがあると彼は思う 自分は病人にも等しかった 何かの悪い霊に取り憑かれおり 悪い考えにのぼせ上がっていた それがいまようやく正気に返ったのだ! ここまで耐えた 戦いは終わった  これからは良くなっていくだろうと彼は思う 喜びが胸に抑えようもなく溢れてくる しかし それと同時に この世界のすべてに向かって謝罪したい 強い衝動に駆られ苦しんだ これまでどれほど多くの間違いを犯し ああ どれほど多くの人を たぶん自分と関わったことのあるすべての人間を 傷つけ悲しませてきたことか 何度 善意を無下に扱ってきたことか! 話はここまで 神さま! これはありふれた物語であ

小さい悪魔

デモーニッシュな小さな獣が ほんの一筋の優しさを見せる ここは無意識 クールさに覆われた彼のおびえを けらけら笑ってバカにする だけどこれには意味があり 彼を世界と和解させるための 彼女なりのやり方である 彼は自分をアポロンだと思い そうではない自分を嫌悪する 恒常なるイデアの天空のいと高き所へと 昇っていく夢を見る彼の浮いた足もとを かっさらうのが彼女の役目 その気まぐれは不思議なことに 大賢人の教えと同じもの 太古からある精霊が 彼女の思いつきに知恵を吹きこむ 誰もが恐れ遠ざける彼を 手を叩いて笑いながらも 愛してあげるのが彼女のやり方
心は子供だ 突拍子もないことを思いつき わたしを驚かせ 楽しませ 困らせる 心は言うことを聞かない わたしの心をちゃんと理解するのは誰? 海がわたしを押しよせ飲みこみ 太陽が地上を焼きつくすまさにその瞬間 わたしの心が何と言うか どんな反応を見せるか わたしは知らない あなたが知らないのと同じ わたしは心と一緒にいる 心はわたしの手を引いて 洞窟の中や地の果てまでも どんな場所へも連れて行く 喜びも楽しみも体験する 悲しみも苦しみもまた わたしはふり回されうんざりしながらも この子供をすっかり愛している
 火のないところに煙は立たない。神がいないとすれば、どうして人間は神について考えたりするのか? どうして、こんなにも神の概念にふり回されてきたのか? 誰か一人だけとか、一部の人たちだけとかではない、大勢の人たちが神の概念に同意してきたし、反対するにせよ固執してきたのである。この事実には何か原因がなくてはならない。科学が神の概念を一掃することに成功したとする。人類が「神」という言葉を使わなくなり、それについてまったく考えなくなったとする。しかし、それでも依然としてその原因は残るし、まったく違う形をまとって現れるに違いないのである。なぜなら、それは人間の心(あるいは本性)の問題だからである。

彼女

彼女が喋ったり動いたりするのを見る それだけで私はこの上なく幸せ 彼女が時々こっちを見る 視線に気付いて 私に微笑みを投げる それだけで私はこの上なく幸せ 行動なんて要らない このままずっと ただ 彼女が喋ったり動いたりするのを ずっと ずっと見ていたいと思います 彼女が時々こっちを見る 視線に気付いて 私 目がけてやって来る 標的を見つけたライオンよろしく つかつかと 私の頭はあたふた どこ見たらいいのやら 彼女の挑むようなからかうような目 私の挙動一つ一つを審判するその目 爛々としている 大きく濡れた黒い目が私を見るのを恐る恐る私は見る それだけで私はこの上なく幸せ!

観念

観念はしぶとく残る。 圧政により思考の自由が失われ、 人びとは消され、誰も何も語らなくなっても、 観念はしぶとく残る。 目に見えないものは必ず生き残る。 書物を燃やし、人びとを磔にし、 物語も伝承ももはや聞かれず、 目に見えるものすべてを この世界から一掃しても、 目に見えない観念は必ず生き残る。 支配者の思いもよらぬ抜け穴が 必ずあって、ほんの一つの種子でも 細胞でもミームでも どこかに残れば、自己増殖を繰り返し、 いずれまた時代の表舞台に現れる。 隠れているもので、あらわにならない ものはない。暗い時代、 観念は地下に潜んでおり、 自分の出番を辛抱強く待っている。
 ああ、神さま! どうか何もかも良くなりますように! すべてが丸く収まりますように!!

どもる歩く考える祈る

欲しいもの 大抵手には入らない 強い者だけ 力だけ 血と鉄だけは どうかやめにして お金がもの言う世界 物がもの言う世界 それでもう十分 これ以上 何を悪くする必要がある? ごつごつした黒光の硬いもの 柔らかい皮膚破って ぐちゃぐちゃにする 車輪の下には血の通った肉体 魂もろとも ぐちゃぐちゃになる ぐちゃぐちゃになる 馬走らせ ルーレット回せ すべてを満たせ 薬はあるし女もある 札束で愛撫すりゃ丸ごと一体 すっかり心もお買い上げ 欲しいもの 大抵手には入らない 渦巻いて欲望 無気力になる 欲しいもの 大抵手には入らない 誰もがそう 泣きそう吐きそう ああ! もの言えない人たち かわいい人たち きみたちは一体何に 希望を繋いでいるのか? どもる歩く考える祈る はるか将来の全会一致 求め どもる歩く考える祈る オセロの駒をひっくり返す こつこつ こつこつ 人知れず どもる歩く考える祈る どもる歩く考える祈る 心よどうかもってくれと
「私のことを悪く思っている人、私と口論したことがある人、私が不快な印象を与えた人に 出会ったら、どうか彼らにそのことは忘れるように言ってください。私の魂には憤りも悪意 もありません。いま、この瞬間、これまでに知り合った人たちの誰彼をつかまえて抱擁し、愛 したい気持ちで一杯です。これは喜びです。きょう、死を目の前にひかえ、懐かしい人々に別 れの挨拶を言っていたとき、その喜びを私は味わいました」(ドストエフスキー、兄ミハイルに宛てて)