蘇る

(どいつもこいつも
何もかもだめ 何より一番自分がだめだと
心の奥では嫌というほど理解している
ああ苦しい何も分からない
誰とも何とも自分とも手を繋ぐことができず
暗い泥の中を彷徨っているぼくの心は
何か大事な壺を思い切り壊したい
って 自分の脳みそをかち割りたい
頭の中でずっと虫ケラが喋ってやがる
額を壁に打ち付ける作業
うるさい! 黙れ! 思考よ止まれ!
ぼく以外のみんなは賑やかに
パーティーを開いているが
くそくらえ
自分はその輪に入らない
違う! ぼくは汚らわしいから
その資格がないのだ
そんなパーティーはくだらない
違う! ぼくは犯罪者だから
明るい部屋が怖いのだ)

 助けてやれ
 誰か助けてやれ この男を!
 明るい道へ戻してやれ
 そのための材料ならここにある!
 幼少期の彼を知っているか
 そうだ 意地悪なところ一つない
 心優しい少年だった……

心の膨大なエネルギーは
ひたすら内の内側へ
無意識のダムに蓄積される
深い恐ろしい渦を巻いては
その時が来るのを待っている
やがて そこからイメージが
一つの道が浮かび上がる
いますべてが変化する!
行き場を失ったすべての水が
道に押しよせ合流し
上へ外へと向かっていった
生き生きとした血液は
彼の全身を駆け巡り
そして死者は蘇る

そして ついにその瞬間が来た
これまでどうしても思い付かなかった一つの理念が
彼の頭を稲妻のように直撃し
すべての謎が解け 何もかもが符合する
そこに疑いの余地はない
自分の考えの何もかもが
その前提から 第一歩目から
目指すべき方向とまったく正反対に進んでいた!
彼はそれを言葉にはできない
しかし 心で理解した
一つ確かなことがあると彼は思う
自分は病人にも等しかった
何かの悪い霊に取り憑かれおり
悪い考えにのぼせ上がっていた
それがいまようやく正気に返ったのだ!
ここまで耐えた 戦いは終わった 
これからは良くなっていくだろうと彼は思う
喜びが胸に抑えようもなく溢れてくる
しかし それと同時に
この世界のすべてに向かって謝罪したい
強い衝動に駆られ苦しんだ
これまでどれほど多くの間違いを犯し
ああ どれほど多くの人を
たぶん自分と関わったことのあるすべての人間を
傷つけ悲しませてきたことか
何度 善意を無下に扱ってきたことか!

話はここまで
神さま! これはありふれた物語である
生きとし生けるものすべてを包む

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