「正義が勝つのではなく、勝った者が正義である」とはよく言うが、競争に勝った者が、競争に勝つことでは満たされない欲求までも競争に勝つことで無理やり満たそうとして競争し勝ち続けるのなら、話は別だ。そいつは、自分でも自分がなんの欲求を満たそうとして競争を続けているのか、分からなくなっている。
 そうやって競争を続ける賢くない人たちは、競争に勝つことでは満たされない欲求があることを分かっている賢い人たちがほどほどに努力して競争をすれば得られたはずだった満足をも、奪いにかかる。すると賢い人たちは、それを奪われないようにもっとたくさん競争に勝つための努力をしなければいけなくなり、競争に勝つことでは満たされない欲求を満たすのに必要な時間と労力が確保できなくなるのだ。
 分かりづらい説明だな…。
 お金は必要であるが、お金を支払うことで満たされる欲求を満たすために必要な分だけお金を稼げばいいのであって、それ以上にお金を稼ぐのに使う時間と労力はすべて、お金を支払っても満たされない欲求を満たすために使うべきだ。あるいは、なんの努力もしないでだらだらするべきだ。
 お金を支払っても満たされない欲求をお金を支払うことで満たそうとする人は、お金を支払っても満たされない欲求を満たすことができないまま、その現状を把握せずに、金稼ぎではない種類の努力をせずに、足りない足りない! と思って金を稼ぎ続ける。
 金稼ぎは競争であるから、誰かがお金を稼げば稼ぐほど、他の誰かに入るはずだったお金はその人に入らなくなる。その人は、金稼ぎをし続ける人のせいで、お金を支払って満たされる欲求を満たせなくなるのだ。それは自分の国の人かもしれないし、他の国の人かもしれない。
 金稼ぎもほどほどにしたい。このままでは、誰も助からないのではないか。

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