一人きりから始めること

例えばとある人間関係がこじれたとして、言いたいことは山ほどあるが、もうどう努力してもなんにもならなそうで、そうなったら黙ってそこから離れていくしかないし、それはもうそういうものだ、そういう忍耐は人生でつきものなのだ、と思うことがある。

「おおいに黙っていよう」と心に決める。それは自分がどれほどの公平さを持っているのか判断できないためであるし、また自分まで同じ土俵に立って一緒にみっともなくなる必要はないと思うからでもある。そのときにはもう自分でも手に負えない複雑な感情になっているのだ。強がっているのか、なんなのか?

そして「一人きりになるべきときなのだ」と思う。でもそれは「ずっと」ではない。「一時的に」一人きりになるべきときなのだ。



僕たちはいつでも一人きりの状態から始めることができるよう、強くなっておかなければならない。それまでの人間関係がすべて無になったとして、イチから新しくやっていくような覚悟を、心のどこかで持っていなければならない。

それは「一人きりで生きていく強さを持たなければ」ではない。「いつでも一人きりから始めることができる強さを持たなければ」である。この二つはまったく違う。