強く心に決めていること

いま強く心に決めていること、それを(何年後でもいいんだけど例えば)十五年後もまったく同じように強く心に決めていられるかというと、それは難しい。ただ、十五年後の自分がいまの自分を振り返ったとき、笑い飛ばして突き放すような人間にだけはなりたくないと思う。いまの自分を心に含んだ状態で、いまの自分よりも大きな存在になっていたいと思う。

「あること以上のことをいったり、感じること以上のことをいったりする」のを、力の及ぶ限りしないこと。それを守らないとき、僕は自分のほとんどすべてを失うと思う。僕は僕と関わりを持つすべての人たちに対して「この人のすること言うことは、間違いなくこの人の感じること考えることである」という確かな実感、安心感を与えたい。

誰かが誰のことも信じられなくなっているとき、僕だけは信じられるに値する人間でなくてはならない。人が僕に対して「どれくらい求めてもよいのだろうか」と戸惑っているとき、僕がじっさいに与えることのできる量を、過不足なく相手に伝える努力を怠らない人間でなくてはならない。

とにかくそれがいま心に決めていることである。強く心に決めていることである。自分の中にある「正直さ」のために苦しい寂しい貧しい思いをすることになったとしても僕はいっこうに構わないし、この「正直さ」のために緊張し狼狽し傷つきふさぎ込むことを繰り返さなくてはならないとしても僕はそれを受け入れる。確かな存在でいること、それを何よりも望んでいる。