もっといろいろなことが上手にできたらいいと思う。人並みにできないこともたくさんあって、人並みにできるようになりたいと思う。でもどこが上手にできていないか、どこが人並みにできていないか、それを自分で正確に把握するのは簡単なことではない。想像力を必要とする。考える時間を必要とする。ときどきアドバイスも必要とする。多くの場合、アドバイスをする方にはリスクがともなうから、いつでも必要なときに必要なアドバイスが飛び交うわけでもない。まず、何よりも、人は他人の脳みその中身を見ることができない。それどころか「一般的にはこうする」といった模範も、あってないようなものである。人は、ひとりひとりがまったく異なった、ユニークな存在であり、「一般的」「普通」「常識」といった概念自体も不確かであるから、それらの言葉を持ち出してきて自分の行動を省みることにもやはり限界があるのだ。

もっといろいろなことが上手にできたらいいと思う。人並みにできないこともたくさんあって、人並みにできるようになりたいと思う。そのための努力もしたいし、してもいる。「どうしたらいいだろう? 何が正解だろう…」と思いながら、辛うじて「これが最善だ」と信じられる行動をとる。それしかできることはない。それ以上のことは運しだいである。

もっといろいろなことが上手にできたらいいと思う。