『犬は吠えるがキャラバンは進む』と『イマジン』というアルバムをたくさん聴いた。聴けば、どういう心持ちでいればいいのかが分かるし、これから何をするべきかもよく分かる。僕はこのふたつのアルバムを尊敬している。「分からなくなったらいつでもここに戻ってくればいい」ものとして聴くべきアルバムである。それ以外に説明のしようがない。何を言っても陳腐になってしまいそうである。

いつも自分のなかにある「心みたいなもの」と対峙している。それは僕だけではなくて誰でもそうだと思う。思考やら感情やらが混ざり合ってぐちゃぐちゃしている塊(あるいは影?)みたいなものを、僕がじっと見つめているのである。その塊は僕の背丈よりも大きい。僕はその塊の動きをいくらかコントロールすることができる。しかし完全に自分の思い通りにすることはできない。人は自分よりも大きいものを完全に思い通りにすることはできない。

おととい『アンナ・カレーニナ』を読み終わった。これまで読んだ小説の中でいちばん長かった。退屈しなかったと言えばうそになるけれど、キチイはかわいいしリョーヴィンは愛すべき人間である。「愛すべき人間」かどうかでいえば、アンナもヴロンスキーも「愛すべき人間」である。トルストイはこの小説に出てくるすべての登場人物を(とりわけアンナを最も)「愛すべき人間」として描いている。