子どもはいちばん悪くない。子どもをいじめる大人が悪い。でも大人もそこまで悪いわけではない。大人をいじめる社会のほうがずっと悪い。母親がヒステリックになりやすいことは、母親に原因があるわけではなく、社会が押しつける母親像(ないしは女性像)に問題があるからに他ならない。女性は社会が押しつける男性像(勝ち組になれ)に潰れそうになっている男性を支えなければならないのだ。僕はときどき社会がすごく憎たらしく感じることがある。社会にとことんいじめられているのに、僕たちはそのことに気づかず、周囲の人たち(大切な人たち)のせいにしてしまうのである。まったく解せない。こうやって腹が立っているそばから、この怒りが、社会(それは相手にしようがないほど大きい)に対してではなく、周囲の人間に向かってしまわないかと怯えていなければならないのだ。

世の中がどういう仕組みになっているのかを僕たちは知らなければならない。丁寧に原因をたどらなければならない。どういう道のりで物事が良くなっていくのか、平和に向かっていくのか、それをまずちゃんと知らなければならない。理想の状態をいちど頭にたたき込まなければならない。