ビートルズの『ザ・ビートルズ』(通称『ホワイト・アルバム』)が、僕はとても好きです。このアルバムはどういうわけか、聴く人に「喜び!」という印象を与えてくれます。喜びという感情さえあれば、苦しいときも結構やっていけるものです。「喜びなしに生きていくことはできない」。楽しみは一時的なものかもしれないけれど、喜びならいくぶん長く続いたりもします。「いいことがあった!」「良い知らせ(英語では good news)があった!」。知っている人が結婚するとか、一人の子供が生まれたとか、そういうときとおなじ気持ち(いずれも経験がないため、僕はよく分かっていないのだけど)。「いえ、あなた、はじめて赤ちゃんの笑顔を見た母親の喜びっていうものは、罪びとが心の底からお祈りするのを天上からごらんになった神さまの喜びと、まったく同じことなんでして」(『白痴』のムイシュキン公爵が出会った「乳呑児をかかえたひとりの百姓女」の言葉)。

コメント