人びとがいなければ、他者がいなければ、僕は決して生きていくことができない。たとえ完璧な人間になれたとして、どこまでも賢く、美しく、善い人間になることができたとして、そういった完全な一個人になることができたとして、はたしてそれがなんだろう? それでもやはり人間はどういうわけか、一人きりでは生きていけないのだから! 何かしら意味のあるものを与えてくれるとしたら、この自分では決してなく、自分以外の人びとなのだから! そういった事実にぶち当たるとき、一時的ではあるにせよ、冷静さの欠いた激しい感情ではあるにせよ、それでも確固たる気持ちで、この自分という存在は他の誰よりも低い者であるし、また、実際そうであるだけでなく、むしろ喜んでそうありたい!と考えてしまうのは、何もおかしなことではない……

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