ナザレのイエスの驚くべきところは、通常の人間がていねいに思考を重ねれば、当然たどり着くであろう帰結とは、まったく反対のこと——それでいて一つも間違ってはいないこと——を、いともたやすく述べてしまうところである。右の頬を殴られたら左の頬を差し出す、九十九人の正しい人のためよりむしろ一人の罪人のために喜ぶ、一番偉い者がそうでない者たちに仕える、といったことを説くのである。このような教えは、ほとんど革命的とも言えるのであり、イエス以降、彼の教えと似たようなことを少しでも述べたければ、どうしてもイエスのことを引き合いに出さなければならないほどである。

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