自分で築き上げた理屈にしたがって、あるいは世界観にしたがって、ほかの誰にも頼らず自分自身を支配することができたと思い込んでいる人間は、次のことに自覚的でなければならない。じっさいは自分自身を支配しているのではなく、他人を勝手気ままに支配しようとしているだけであるかもしれないことに、である。他者との共生を余儀なくされている人間が、自分で築き上げた理屈のみにしたがっていても許されるのは、自分一人きりの生活においてだけである。さみしさを克服しようとし、孤独であることを過剰に肯定してしまうのは、とても危険な考え違いである。

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