何かに失敗したり悩んだりしている人に向かって(まさに面と向かって)、あなたの「ものの見方」のせいでそうなったのだ、人生に対する向き合い方がはなから間違っていたのだ、とはっきり言い渡すことほど残忍なことはほかにない(いったいなぜ、そうでなくてもすでに苦しんでいる人間を、それ以上責めなくてはならないのか?)。これは人間のもっとも繊細な部分に土足でずかずかと入りこむことであり、人間がそのおかげでばらばらにならないでいられる当のものを壊すことである。すでに尊敬を得ている人間がこれをすれば、他人を自分なしでは生きていけないように作り変えることができる。そのような人たちは、自分と自分の意見と自分の好きなものを押しつけることによって、弱い者に「改宗」を強いる、カウンセラーのふりをしているがじっさいは単なる病人である。他人を自分の意志のなかにゆっくりと引きずりこみ、その泥沼のなかで身動きをとれなくさせるのである(もしかしたら私は言いすぎているかもしれない)。

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