たいていの人は「恥をかくこと」を何にもまして恐れている。私たちが互いに仲良くできず、避けあい、恐れあっているとしたら、それは人前で恥をかくことを恐れているからである。とことん恥ずかしくて滑稽で、みんなから嘲笑を浴びるけれど、まったくそれを気にしないような人間がいるとしたら、そのまわりにこそ大勢の人びとが集まるだろう。なぜなら、みんなその人の前では恥をかく心配はないと分かっており、安心して近づくことができるからである。このような人間は、もしかしたらかっこ悪いかもしれない。しかし、ほかの誰よりも尊敬に値する人間である。このような人間の性質だけが、私たちに平和をもたらすことができるからである。それに対して、「恥をかかないこと」を第一の心配事としているような人間は、なるほど、分別(といった意味での賢さ)ならたくさん持ち合わせているかもしれない。しかしそれらは、どこまで行っても利己的である。

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