「何を言うんだね。でもきみの恋は憎しみとすこしも区別がつかないものなんだね」公爵は微笑した。「もしその恋が消えてしまったら、もっと恐ろしいことがおこるかもしれないね。パルフョン、私は、それだけははっきり言っておくよ……」
「じゃ、このおれが斬り殺すってことかね?」
 公爵はぎくりと身を震わせた。
「きみは現在の恋のために、現在うけている苦しみのためにこそ、あの女(ひと)をとても憎むことになるんだよ(…)」
(ドストエフスキー『白痴』)

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