メルヘン

わたしはわたしは
良くないことを考えていた
空恐ろしいとは思いつつも
いやどちらにせよ
はなからすべて空っぽだと
思うようになっていた
それで……
心がふっと
一瞬 浮いたかと思うと
体までもが
地上をはなれてしまった
これで自由になったんだ
そう思うと
胸が高鳴るのを感じた
でもじきに
もうもとには戻れないと気づくと
ちょっとだけ不安になった
いいや大丈夫よわたし
これはわたしの望んだこと——
でもますます不安は大きくなった

わたしの夢の実現は
メルヘンで願いごとが叶う瞬間と同じく
夢見ていた幸せが呪いとして働くという
不幸なめぐり合わせとなった

もうわたしの目をひたと見つめて
ものを話してくれる人は
どこを探してもいないでしょう

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