伝道者ソロモン曰く、「空の空、空の空、いっさいは空である。……世は去り、世は来たる。……川はみな、海に流れ入る。しかし海は満ちることがない。……先にあったことは、また後にもある。先になされたことは、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。……前の者のことは覚えられることがない。また、来たるべき後の者のことも、後に起こる者はこれを覚えることがない」。憂鬱の知恵はこう語る。行為し言論を交わしつつ人間が現われることのできる場所としての世界への信頼が消え去ってしまったとき、こうした知恵で人間はみずからを慰めるのである。
(ハンナ・アーレント『活動的生』)

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