勇敢に積極的に人間関係の中へ入っていくことは、ときにとても難しい。人間関係とは網の目みたいに複雑なものである。その中では何が起こるか予想がつかない、起こったことの責任を自分が取れるかも分からない、そして何より心に傷を負うかもしれないのが怖い……などということを考えているので、あまり大胆な行動が取れないのである。誰かを傷つけてしまったとき、僕はその責任を取れるのだろうか? また、自分が傷つくことを恐れている。それはどんなに心を奮い立たせようとしても、いざというときには役に立たず、僕はこんなにも臆病な人間なのか! と驚愕するほどである。あれこれ逡巡するだけで行動できなくなっているのである。

 それというのもすべて、起こったことをそれが何であれ受け入れ、巻き込まれたなら進んで迎え入れ、関わる人たちみんなを心から歓迎するだけの「全体的な愛」が僕には欠けているからである。だいたい傷つくことがなんだろう、恥をかくこと、滑稽になることがなんだろう? 愛することによってしか愛することを学ぶことはできないと言うのに、それを学ばないまま大人になっていいものだろうか。ああそれにしても、ポール・マッカートニーの曲はなんと愛に満ち溢れていることか。「レット・イット・ビー」とか「ヘイ・ジュード」とか、なんと暖かくて力強くてシンプルなメッセージが含まれていることか。自分の未熟さがよく分かるのである。

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