「(…)で……やつをどうするね? 銃殺にすべきだろうか? 道徳的感情を満足させるために銃殺に処すべきだろうか? 言ってみろよ、アリョーシャ!」
「銃殺にすべきです!」青白い、ゆがんだような微笑を浮かべて兄の顔を見あげると、アリョーシャは小声にこう言った。
「ブラボー!」とイワンは有頂天のような声で叫んだ。「おまえがそう言うとなると、こりゃもう……いや、たいしたお坊さんだよ! してみると、おまえの胸の中にも、ちょっとした悪魔の子供ぐらいはひそんでいるんだね、アリョーシャ・カラマーゾフ君!」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)

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