願望という名の詐欺師

人びとの
あるいはあなたの中にある強い願望
しかしそれをそうとは知らないでいる
無意識の中にあるそれは
この上なく
恐ろしい かつ 禍々しいもの

だなんて わたしは信じないし
信じたくない(だって
そんな不公平なことを神さまが
お許しになるはずがないもの)

たとえば
根無し草的な大衆の足もとを
かっさらい
すべてが終わったあと
目が覚める しかし
それは夢ではない

たとえば
わたしの恋人の無意識に
「お金をもらってあれする女」
かつ「偉大なるマザー」が
潜伏していて
それを上手に模倣する結婚詐欺師が
いつか彼をわたしから奪い去る

そんなこと わたしは想像しないし
想像したくない

無意識 ゆえに意識
天国があってほしい
ゆえに 天国はある
だなんて 暴論にもほどがある

心の願望を
現実と見間違える
それが人間の愚かな宿命
だなんて わたしは知らないし
知りたくない

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