社会人(あるいは現代人)の悲惨なところは、あまりにも多様なものの見方があるために、他者と共通の世界を持つことが難しく、人生の大半、自分が見ている世界(=主観性)に閉じ込められているところである。言葉の通じない外国にいるときと同じ疎外感が、社会人の心を覆っている。得体の知れない社会なるものの中で、どうにか安住の地を求め、ときどきそこにたどり着くこともあるが、たいていは上手くいかない。

 カフカは主観性に閉じ込められた世界を描いている。

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