偽善者とは「まわりからは善人だと思われ、実際には悪人である」ような者のことを言う。現象(どう思われるか)と存在(実際どうであるか)の食い違い問題は、ささいな問題では決してなく、善悪の中心テーマですらある。皆からすでに憎まれている悪人よりも、偽善者の方がよっぽど地獄行きにふさわしい。「偽善者に向けられる基準は古代のソクラテスの『あなたが現象したいような者であれ』ということばがピッタリだろう」。本当に気にかけるべきことは、人に見られる態度ふるまいではなく、人には見られない心のあり方のほうである。

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