読みやすい文章
ドストエフスキーの文章は読みやすいし、ジェイン・オースティンはもっと読みやすいのだが、ディケンズはなぜか恐ろしく読みにくい。翻訳の問題ではない。同じ翻訳者のオースティンとディケンズでも比べてみたので。どうしてだろう? ものの見方、キャラクターの描き方など、ディケンズの小説には素晴らしい点がたくさんあって、一生のうちに何度でも読みたい気がするのだが、僕にはどうしても読みにくいので、それだけに個人的に残念(『荒涼館』エスタが物語る章だけは、なぜか読みやすい気がする。本当に素晴らしい章)。
日本の小説は、あまり読んでないが、谷崎潤一郎の『細雪』がよかった。だいぶ長い小説なのだけど、再読もした。読んでいて、これほど心地よく、すっと入ってくる文章はめずらしいと思う。人の日常的な思考の流れに近いからなのか、なぜなのか、分からないけど、読書のわずらわしさがまったくない。心地よい、という表現がぴったりな文章。リラックス効果あると思います。論理的な文章でもあるから余計すごい。英語(ヨーロッパ言語?)みたいと思った。
プラトンの対話篇もすごく読みやすい。哲学の始まりにしてすべて(?)が、こんなにも読みやすい、素朴な思考の流れに適った文章であることを、世界に感謝したいくらい(いい気づきがあると、有頂天になって、世界としか言いようのないすべてのものに感謝したくなりますよね)。
思考、心理、意識、それらは流れていくものである。読みやすい文章は、人間のうちにある流れに適っているのだと思う。
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