忠誠について

 人は誰しも何かに忠誠を誓い生きている。これは間違いない。自分自身に忠誠を誓うだとか〈無〉に忠誠を誓うだとか、そういったことは絶対にできない。誰も神さまではない。問題は、何に忠誠を誓うかである。人は一般的に、自分の所属する組織、とりわけ、自分の生計を維持してくれる組織に忠誠を誓う。組織に倫理がなければ(利潤だけを追求すれば)、組織に忠誠を誓う自分にも倫理がないことになる。上司の言うことを聞くのは必要だが、忠誠を誓うべき対象は、上司よりもはるかに位の高い存在、すなわち〈善〉である。「なぜおれの言うことが聞けないのか!」あなたよりも偉い上司がいるからだ。

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