政治を考え始める

 政治を考えるための最初のステップは「自然状態」を想像することである。動物が置かれている環境とおなじ、言葉のない状態に自分の身を置いてみることである。そこには法律がない。警察も、裁判所もない。「正しさ」という概念がない。暴力だけがある。周囲に・自分の身に何が起こるか、自分が何をするか、想像してみる(注意:そのような時代が歴史的にあったのだと想定する必要はない。理念的にあれば十分である)。

 次に、何らかの奇跡によって、動物であった私たちが突然人間に変身し、言葉が与えられたと仮想してみる。暴力と言葉の両方がある状態。政治が芽生えるその瞬間・その場所に、私たちは居合わせる。お互いの暴力から身を守るために、そして可能なら「正しく」あるために、私たちはどうすればよいか、考えてみる(注意:ここでも歴史的である必要はない。理念的で十分)。

 最後に、そういった言葉の活動の延長に、私たちがいま住んでいる社会ができたのだと想像してみる(注意:歴史的な延長とはかぎらない)。私たちの社会は公正につくられているか、そうでないか、その中間か。私たちの社会は言葉から始まったのか、暴力から始まったのか、その両方か。

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